雑記帳


※ 個人的に思ってることを綴ってみました。特定の団体や企業等を応援もしくは攻撃
 しようなどの意図は全くありません。地元行政や農業団体を応援しようということは
 あるかも知れません。
  皆さんのご意見をお待ちしています。

12月31日
第20回(最終回) 環境農業による農業振興の真意は何か

 いよいよ最終回を迎えました。3月末まで続けようと思っていたので、項目立てとし
ては未完成ですが、基本的な考え方はご理解いただけたのではないかと思います。
 今回は環境農業による農業振興の真意に迫ってみます。
 本論に入る前にいくつか整理しておきます。
○ 環境農業は、単に農薬を減らすとか、特定の農法ではありません。ほ場条件から農
 作業の安全性、使用する資材などを含めた幅広い内容を含んでいます。環境農業の概
 要については別ページを参照下さい。
○ 農産物の安全性については、やがて国産優位という状況でな無くなると思います。
  気候の点で、日本には大きなハードルがあります。
○ 現時点で有機農業による農業経営は大きな課題を抱えています。農産物の品質・食
 味や収量(つまりは栽培技術)、栽培にかかる労力、販売方法および販売価格、記帳
 実務などです。当NPOにおいても「兼業農家」「慣行栽培等との併行栽培」が会員
 の多くを占めています。有機専業には二の足を踏んでいるというのが現状です。
○ 農産物の食味については、客観的に評価した場合、自然のものが一番おいしいとは
 言い切れません。これまでの品種改良の大きな要素に食味の向上があることからも明
 らかです。おいしいもの、施肥にこだわったもの、できるだけ手を加えないようにし
 たものなどいろいろありますが、1人や2人ではなく、多くの人にどのような農産物
 を提供するかはじっくり考える必要があります。
  消費者にどのような情報を伝えるかというのは、別の観点で重要なことです。
○ 個人経営の農業は自営業であり、経営者の考え方に家族の考え方を若干(?)プラ
 スして、いろんな工夫をしたりしながら、様々な経営が行われています。
 これらを踏まえて、やっと本題です。
 環境農業の特徴の一つは、農業者の主体性を尊重しながら、農業の果たす社会的な役
割を高めていくことにあります。社会的な役割を果たすためには、消費者に支持される
農業を探って生産者もそれに取り組んでいく必要があります。消費者に支持される農業
は必ずしも価格が安ければよいとは考えていません。これが、一律的な規模拡大ではな
く、規模の大小にとらわれない農業経営の継続の足がかりとなります。
 地域全体で環境にやさしく、生産者にも消費者にも支持される農業に取り組むことで
お互いが生活をして行けるならば、環境農業による農業振興が地域の活性化につながっ
ていくと考えています。
 環境農業は、今後の農業のあり方について、国の考え方に対する対案と位置づけてい
ます。これ以外の対案を含めて、多くの方から議論いただくことを願っています。
 これをもちまして、雑記帳を終了いたします。ありがとうございました。
 執筆者自身、もう少しまとめたいとの考えがあるので、いずれの日にか、別のホーム
ページでお目にかかることができるかも知れません。「環境農業」がキーワードです。

12月20日
第19回 消費者ニーズを考えるB〜牛肉編(その3)〜

 アメリカ産牛肉の輸入が再開され、焼き肉屋でおいしそうに食べているお客さんとう
れしそうな従業員が報道されています。本当にこれでよいのでしょうか。
 これからが本題です。
 牛肉の質としては「食べておいしい牛肉」「健康な牛の牛肉」がありますし、別の観
点からは「消費者求める牛肉」「生産者が一番だと思う牛肉」というものがあります。
ここでは、例えば「健康な牛の牛肉はおいしくないのか」などのことは脇に置いておき
ます。
 生産者はどの牛肉を生産すればよいのでしょうか。
 この答えは生産者の考え方によっても変わりますし、生産の規模、どれだけの所得を
生産から上げなければならないかによっても変わってきます。
 理想を追求するなら「生産者が一番だと思う牛肉」もしくは「健康な牛の牛肉」でし
ょうし、安定経営を求めるなら「食べておいしい牛肉」もしくは「消費者が求める牛
肉」になると思います。
 もちろん、生産者の情報によって消費者ニーズが変化することも考えられますし、大
いにすすめていくべきだと思います。個人的には「健康な牛の牛肉」が「消費者の求め
る牛肉」になることが一番良いと考えます。
 どのような牛肉を生産するかは、経営者のみならず家族を含めて作業に携わっている
方全員できちんと考える必要があります。
 これは多分、牛肉以外の農畜産物に共通なものだと思います。
 家庭菜園であれば別ですが、きちんと経営を確立することが大切であり、そのために
どのような農産物を作るか、消費者にどのような働きかけを行っていくか、大切なこと
です。

12月14日
第18回 消費者ニーズを考えるA〜牛肉編(その2)〜

 いよいよアメリカ産牛肉の輸入が再開されるようです。アメリカの要求はますますエ
スカレートしそうです。再開されたことについて、アメリカは「自分たちの主張が正し
く、日本にも受け入れられた。正しくてもまだ受け入れられていない主張も認めさせる
べきだ」と考えることと思います。
 前回は、様々な要因は別として、消費者がサシの入った牛肉を好み、生産者もその生
産をすすめているという内容でした。
 では、牛肉の元となる牛にとってはどうでしょうか。
 サシの入った肉の牛と、赤身の肉の牛ではどちらが健康なのでしょうか。ここでは赤
身の肉の牛は、広い土地に放牧されていると仮定します。この仮定自体は強引ですが、
わかりやすくするために単純化しました。
 サシが入った肉の牛は、飼料や肥育環境など、サシを入れるために様々な工夫がなさ
れています。この工夫の内容については詳しい方にお聞きいただければと思います。
 そのような工夫をされた牛と、放牧されている牛ではどちらが本来の牛の姿に近いの
でしょうか。あなたが牛になるとしたら、どちらの牛に生まれ変わりたいですか。
 自分自身は、放牧されている牛の方だと思います。
 本日の結論としては、「現時点では、一般的に、牛が本来の姿に近いかということよ
りも、食べておいしいということが消費者に評価されている」ということです。
 もちろん反対の消費者ニーズもありますが、大勢としてはそういえるのではないでし
ょうか。

12月5日
第17回 消費者ニーズを考える@〜牛肉編(その1)〜

 消費者ニーズについて考えます。ここでの消費者ニーズというのは、生産者と消費者
に区分したときの消費者というよりも、その農畜産物を消費する全般を差します。今回
の牛肉については、肉牛生産農家を含め、牛肉を消費する人の全般をイメージしていま
す。
 本題に入ります。
 ここに2つの牛肉(別々の国産牛の同じ部位で400g)があったとします。
 「サシが良く入った肉・2千円(以下、さし肉)」
 「サシの入っていない肉・千円(以下、あか肉)」
 みなさんはどちらを買いますか。財布に余裕があるときは「さし肉」、いっぱい食べ
るときは「あか肉」とか、いろんな判断基準があると思います。
 それでは、「さし肉」と「あか肉」が同じ値段だったらどうでしょうか。「あか肉」
を選ぶ割合がもっと増えると思います。
 これは「さしの入った肉がおいしいし、評価が高い」というのが消費者ニーズになっ
ているからだと思います。牛肉の格付基準のなかにも、サシの入り具合が要素として入
っています。「さし肉」が高く評価されるのであれば、生産者もそれを目指して行くの
は当然のことです。
 例え、生産者が自分は「あか肉が好きだ」という考えで、一生懸命「あか肉」を生産
しても、現実に経営を維持していくのは難しいと思います。
 同様に、「本物の野菜はこうあるべきだ。農家はその方法で作るべきだ」と一生懸命
唱える人がいても、農家としては受け入れられないことも多いと思います。多少の野菜
であれば、市民農園を活用したり、プランターを活用したり、自分で作ってみることが
一番です。それで採算がとれると思えば、農業を本職にすればよいと思います。
 少しそれましたが、「農畜産物の生産は消費者ニーズに左右されているのが実態」で
あることが今回のテーマです。
 まだまだ、続きます。

11月5日
第16回 農業振興を考える〜農業振興への踏み台は何かC〜

 先回の補足です。
 はじめに、「担い手」を前者(地域社会の「担い手」)に位置づけた場合についてで
す。
 この場合、最も重要なのは、専業・兼業を問わず、というよりも兼業を含めた中で、
農業に従事する地域住民を維持しながら、農業のウエイトを高めていくことです。特定
の農業者のみに農業生産を委ねてしまえば、地域住民の農業に対する「気合い」も「関
心」も薄れ、「技術力の低下」につながりかねません。
 農業生産については、それぞれの農業者の意向も取り入れながら、安全で効率的な作
業や経営が出来るように工夫が必要だと思います。
 また、農作業等に配慮しながら、企業誘致を含めて、「働く場」を以下に確保するか
も大切です。
 前者の場合は、農業に対する公共的な役割が強く位置づけられますので、農業生産や
農業経営においても、より良い方法を検討しながら積極的に取り入れていくことが求め
られます。この点において、農業者の意識改革が必要となると思います。
 次に、「担い手」を後者(農業の「担い手」)に位置づけた場合についてです。
 この場合、「安全・安心な農産物を環境に配慮しながらいかに効率的に生産するか」
「残すべき農地をどう管理していくか」が求められます。
 基本路線さえ守れば、株式会社を含めて、農業生産の形態にこだわる必要はないと思
います。
 実は、資金力のあるトップダウン型の組織が生産に携われば、先進的な技術を積極的
に取り入れたり、用排水管理を含めた圃場整備が可能であること、効率的な作付けが可
能であることなどから、農産物生産においては有利な条件もあります。
 しかし、地域住民から農作業を奪うことになり、地域の人口減少や活力低下はさらに
すすむと考えられます。
 このように、「担い手」の位置づけによって地域農業のイメージは大きく変わりま
す。
 農業者や地域住民、国民が「日本の農業や農村、農産物」に何を求めるか。根本的な
議論と覚悟が求められています。


11月3日
第15回 農業振興を考える〜農業振興への踏み台は何かB〜

 農業の「担い手」について、議論が交わされています。
 農村にすんでいる人に、会社などに勤めている人がいたり、専業農家がいたり、会社
などに勤めながら農業に携わり人がいたり、年金を受給しながら農作業に精を出す人が
いたり、家庭菜園に励む人がいたり、様々です。
 「担い手」を議論する上で明確にすべきことは、何の担い手かということです。
 今までは、地域社会の担い手が地域農業の担い手とが不可分の関係でしたが、「担い
手」のとらえ方によっては、全く異なってきます。
 地域社会の「担い手」であれば、その地域に住み、生活をし、そのなかで農業にも強
い関わりを持つということが想定されます。
 農業の「担い手」であれば、極端な話、その地域に住んでいることの必然性はありま
せん。一定の範囲で農地を守りながら、生産性の高い農業を実現することが何よりも求
められています。その地域や集落が存続するか否かという観点とは関係です。
 現在の「担い手」として期待されているのは、前者でしょうか、後者でしょうか。
 明らかに後者のウエイトが高いと考えられます。
 このことを明確にした上で議論しないと、生産者にも消費者にとっても煮え切らない
漠然としたものになってしまいます。生産者は前者のイメージが強いと思いますし、消
費者は後者のイメージが強いと思います。
 本来、地域の担い手は、地域農業や地域産業の担い手であるできと考えます。そうい
う担い手が育つような政策づくりが必要です。
 ここの議論は避けて通ることのできないものです。
 農業振興は地域振興につながるという明確な位置づけが、将来を見据えた農業振興に
つながると思います。

10月14日
第14回 NPOは実は難しいA〜助成金と寄付金について〜

 NPO活動の財源としては、会費や事業収入の他に、助成金や寄付金が大きく位置づ
けられています。
 「そもそもNPOは公的な活動内容が求められているのだから、助成金や寄付金を活
用するのが前提である」という方もいらっしゃいます。
 先般、助成金の審査員をされている方のお話をお聞きする機会がありました。その助
成金はある財団が取り組んでいるものです。審査というと堅苦しい感じもしますが、
「財団としてどう支援していくか」ということを常に意識しているようで、少し安心し
ました。
 その中で、「自らの活動は絶対に正しいものであり、助成や寄付を受けられることは
当然であるというNPOや、自分たちの活動を支持しない行政や企業などを攻撃してい
るNPOなどが、実際に助成や寄付を受けることは難しいのではないか」という指摘が
ありました。確かに、攻撃されている企業が、攻撃している相手に対して寄付をすると
いうことは考えられません。
 福祉関係のNPOの方が、一生懸命に行政や福祉団体を攻撃(相手の存在意義も含め
て攻撃しているので、これは批判とは考えられません)しているのを聞いたことがあり
ますが、気持ちの良いものではありません。一般市民にしてみれば、誰もその方に「福
祉関係のNPOを運営して欲しい」とはお願いしていません。「そのNPOが活動しな
ければ福祉活動全体に大きな障害が生じる」と考える市民はいるのでしょうか。
 「あなたのNPOの会員の方は、あなたが批判するのを聞いて『よくぞ言ってくれ
た』と喜んでくれますか。困っているのではないのですか」とお聞きしようかとも思っ
たのですが、そんなことをしたら1時間くらい「説教」されそうな雰囲気でした。
 NPO活動に苦労されていることは分かりますが、自らの存在意義を、他者を引き下
げること(攻撃すること)で示すのではなく、創造的な活動を通じて自然に求めてもら
う方がよいのではと思います。個人活動ではなく、NPOなのですから。
 福祉関係のNPOがみんな同じだと誤解されると困るので付け加えますが、その方以
外に攻撃が得意な方は知りません。

10月8日
第13回 農業振興を考える〜農業振興への踏み台は何かA〜

 農産物の生産・販売の体験について補足します。
 例えば、小松菜を例に取ります。
 スーパーにはきれいに袋詰めされた小松菜が並んでいます。夏場でも、みずみずしい
状態を保っています。虫の穴もほとんどありません。
 では、実際に育ててみるとします。
 気温の低い時期を除いて、露地の畑に肥料を撒いて畝を作り、種を撒いて、3週間後
に出荷できるかというと、きっと出来ないと思います。
 発芽はなかなか揃わないし、発芽しても虫の食害で無惨な姿になってしまいます。
 徹底的に農薬を使えばある程度防ぐことが出来ますが、定められた使用回数では難し
いと思います。
 では、生産現場ではどうしているのでしょうか。
 一定規模以上の場合、ハウス栽培が行われています。天井はビニールですが、側面に
は通気性を確保しつつ虫を防ぐために防虫ネットがよく使われます。1mmの編み目で十
分という気もしますが、実際に虫害を防ぐにはそれ以下の編み目のネットを用います。
蛇足ですが、編み目が細かくなると、価格は一気に高くなります。
 ハウスの出入りの際は素早く、かつ、外から虫を持ち込まないように細心の注意を払
います。さらに、1日に数回は小松菜の上で網を振りながら、虫を捕まえます。
 収穫後は根を切り、出荷規格に基づいて選別し、重さを量りながら袋詰めします。
 一定の数量を段ボールやコンテナに入れて、鮮度を落とさないように、出荷します。
 このようにして、夏場の小松菜が生産されます。虫の多い夏場では、農薬を使ったか
ら虫は大丈夫という状況ではなく、防虫ネットや虫取り網を振るなど、「耕種的防除」
が重要です。
 このようなことを体験すると、夏場にみずみずしい小松菜を見ると、「生産者は頑張
っているな」と感じることが出来ます。
 体験がないと、「あるのは当然」としか思いません。
 体験者が多くなればなるほど、地域にあった農業のあり方について理解が深まり、ま
た、実際の農業振興がすすむのではないかと考えています。

10月7日
第12回 農業振興を考える〜農業振興への踏み台は何か@〜

 NPOでは有機農業に絞った「トライ有機農業〜連続技術講座(入門編)〜」を開催
しているほかに、「環境農業による地域農業振興」を提案しながら地域の農業振興を考
えるための「環境農業塾」を開催しています。
 食の安全・安心への関心は高まっていますが、それが農業振興にはつながっていると
はいえない状況です。
 もちろん、多くの方が農業の大切さなどは訴え続けています。
 このような状況のなかで、農業振興への踏み台の1つは「農産物の生産と販売を体験
すること」だと思います。農産物を有機農産物に置き換えれば、有機農業の振興への踏
み台ということができます。
 野菜を例に考えます。
 野菜をお店で買うのと生産するのとでは大きな違いがあります。
 同様に、野菜を生産して自家消費するのと、直売所や市場とで販売するのとでも、大
きな違いがあります。
 野菜を友人・知人に食べてもらえばきっと喜ばれることでしょう。曲がったキュウリ
でも、辛いシシトウでも喜ばれます。
 ところが、お金で買ってもらうということになると、がらりと状況は変わります。3
00円で買ったのであれば、買った人はスーパー等とかの300円の商品と比較される
のは当然のことです。曲がったキュウリは諸説あるのでふれませんが、辛いシシトウな
どピシャリと拒絶されてしまいます。
 こんなことを書くと、野菜を販売したことのない方から「そんなことは分かってい
る」とおしかりを受けそうですが、そういう方には「それ相応の価格で、自分で販売し
てみること」を提案します。「自分で販売してみないと分からないこと」はあるもので
す。
 米を売っているから野菜も同じだろうということはありません。野菜でも、品目によ
って違うと思います。
 農業振興を考えるとき、あるべき論などが選考しすぎて、農産物の生産や販売の体験
に基づいて考えることが決定的に不足していると思います。
 多くの方が、たとえ規模が小さくても、農産物の生産・販売を体験することで、国内
農業や国内農産物に対する考え方が大きく変わると思います。
 能書きよりも「百聞は一見にしかず」です。

9月26日
第11回 有機農業を考えるB〜JAS有機で農薬は使えるかB〜

 前回述べた4つの基準について、補足します。
 生産に使用する資材について「法律で良くても別の基準で制約され、随分、窮屈そう
だ」と感じられた方も多いと思います。その通りだと思います。
 同じ資材でも、認定機関によって使用の可否が異なっています。1つだけ例を挙げる
と、「紙マルチ」があります。田植えの時に、薄い紙(紙マルチ)を敷いて、その上か
ら苗を植えると、雑草の生長を抑えることができます(発芽しても紙で日光が遮られ、
成長できません)。
 この資材について、JAS法に適合していても、認定機関によって判断が分かれてい
ると聞いたことがあります。「JAS法に認められているものは認めての良いのでは」
「可能な限り、圃場に持ち込む資材は必要最小限とすべき」「紙マルチの分解のための
環境負荷を検討した上で判断すべき」など、様々な考え方がありますし、また、「有機
栽培をすすめる上でその資材を用いることの効果」も考える必要があります。
 あまり基準が厳しくなりすぎると、有機栽培にも大きな支障が生じます。
 ここで忘れてはいけないのは、国内に有機認定を限定した登録認定機関の基準がいく
ら厳しくなっても、国外の有機認定を行っている登録認定機関の基準が厳しくなければ
「有機農産物の輸入」には何の支障もありません。
 つまり、国内の生産者に対する規定が厳しくなればなるほど、有機農産物の供給数量
が変わらないとすれば、相対的に輸入有機農産物の割合が増えることとなります。
 この点について、後日、補足します。

9月15日
第10回 有機農業を考えるB〜JAS有機で農薬は使えるかA〜

 ある生産者がJAS有機の有機農産物を生産する場合、様々な基準が採用されます。
 ここでは、生産者がグループを作って、そこで自然農法センターから有機認証を受け
ていると仮定します。
 この生産者が守るべき基準はこのようになります。
@ 国では「有機JASの基準」を設けています。
A 自然農法センター(登録認定機関)では、@の基準の範囲内で「自然農法センター
 の基準」を設けています。
B グループでは、Aの基準の範囲内で「グループの基準」を設けています。
C 生産者は、Bの基準の範囲内で「自らが生産する場合の基準」を決めています。
 国の基準があったとしても、自然農法センター、グループ、生産者のそれぞれの考え
方を反映したものが、最終的な基準となります。
 ですから、「国の基準」(制限付きで農薬が使用できる)がそのまま最終的な基準と
はなっていないのが現実の姿だと思います。
 有機農産物として流通しているものは、認定した登録認定機関や生産者などによっ
て、「基本的な要件は満たしながらも、それぞれの考えを反映している」ものです。

9月15日
第9回 有機農業を考えるB〜JAS有機で農薬は使えるか@〜

 JAS有機栽培では、化学合成物質を用いないことを基本としています。
 しかし、結論から言えば、JAS有機では制限付きで農薬を使うことができます。
 制限付きというのは、使用可能な農薬が有機JAS規格の中で定められています。
 これらは、国際的な基準にほぼ沿ったものとなっています。日本の登録認定機関が認
証業務を行う場合に適用されます。ですから、日本の登録認定機関が有機認定を行う場
合、生産地が国内であろうと国外であろうとこの基準が適用されます。基準を厳しくす
れば、有機農産物の貿易にも影響が出ると思います。
 生産地は別として登録認定機関の属する国の基準が適用となりますので、日本の基準
が変わったとしても外国の基準が変わらなければ、日本では「有機農産物」として立派
に流通できます。
 結論についてはあくまでも制度上のことであり、生産現場がこの通りというこ
とではありません。
 続編(JAS有機で農薬は使えるかA)をご覧下さい(近日執筆予定)。
 詳しくは、「有機農産物の日本農林規格」を参照下さい。
 http://www.maff.go.jp/soshiki/syokuhin/heya/yuuki-nousannbutukikaku.pdf

9月14日
第8回 有機農業を考えるA〜農薬とは何か〜

 無農薬表示に対する規制が厳しきなっていますが、そもそも農薬とは何でしょうか。
 工業製品である粒剤や液剤をすぐに思い浮かべる方や、自然農薬とか特定農薬を連想
する方もいらっしゃると思います。
 とにもかくにも、法律では次のとおり、定義されています。
○ 農薬取締法(抜粋)
(定義) 
第一条の二 この法律において「農薬」とは、農作物(樹木及び農林産物を含む。以 下「農作物等」という。)を害する菌、線虫、だに、昆虫、ねずみその他の動植物 又はウイルス(以下「病害虫」と総称する。)の防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤 その他の薬剤(その薬剤を原料又は材料として使用した資材で当該防除に用いられ るもののうち政令で定めるものを含む。)及び農作物等の生理機能の増進又は抑制 に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤その他の薬剤をいう。 
2 前項の防除のために利用される天敵は、この法律の適用については、これを農薬 とみなす。 
3 この法律において「製造者」とは、(略)
4 この法律において「残留性」とは、(略)

http://www.maff.go.jp/nouyaku/noutorihou(050401).htm
 これによると、工業製品か否かは無関係で、天敵も農薬と位置づけられています。
 この定義の妥当性の議論も必要ですが、改正されるまではこの定義を用いないと議論
すること自体が難しくなります。

9月13日
第7回 有機農業を考えるA〜そもそも有機JASとは@〜

 有機JAS制度について、その位置づけを整理します。
 有機JAS規格は、特定JAS規格に含まれます。
 この特定JAS規格は、JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する
法律)において、「生産の方法に特色があり、これにより価値が高まると認められる農
林物資について制定することができる」が根拠になっています。
 有機農産物であれば価値が高いだろうという前提に立っており、決して、安心・安全
だからとか、環境に優しいから有機農産物を別扱いにするというものではありません。
 特定JAS規格には、有機農産物および有機農産物加工食品のほか、熟成ハム類等、
地鶏肉、生産情報公表牛肉などがあります。

9月12日
第6回 有機農業を考えるA〜有機表示について〜

 有機JAS制度がスタートしたときによく言われたのが「有機表示があいまいだ。有
機農産物にも、堆肥を少し入れたものから、無農薬・無化学肥料のもの、ボカシや堆肥
など有機質資材づくりに積極的に取り組んでいるものまで、幅が広すぎる」ということ
がありました。
 これに対して、「どのような作り方をしているかなどは、生産者と消費者との関係で
十分伝えることはできるのではないか」「急いで導入する必要があるのか」「そういう
面もあるのが、何を有機農産物とするかを十分検討すべき」などの意見がありました。
 表示の規制が行われた現在はどうなっているのでしょうか。
 確かに「JASマークが付いて有機栽培と表示されている」JAS有機農産物がある
一方で、それ以外の「有機農産物」があるのも事実です。
 また、「有機か否かの線引きを、化学合成農薬や化学合成肥料の使用の有無にこだわ
った」ことにより、さらに複雑化してきています。
 もちろん、JAS有機農産物が本物でそれ以外は偽物ということはありませんし、安
全性や品質、食味などにしても、それぞれの農産物によっていろいろです。
 以前にも増して、有機表示(無農薬・無化学肥料の表示を含めて)が複雑化している
感じがします。

9月5日
第5回 有機農業を考える@〜トマトの生命力〜

 ある圃場で、昨年トマトを栽培しました。秋に株を抜き、春に耕耘を行ったものの、
それ以降の管理ができず、無法地帯となっていました。
 先般、圃場を一回りしたところ、草(背の高いものは2m位、その中では1m先も見
えません)のなかで、いくつかのトマトが生長し、実をつけはじめていました。トマト
の生命力を感じました。
 2回ほど収穫しましたが、日照不足と痩せ地のためか、ほとんど甘みはありません。
 「甘み(もしかしたら栄養も)はなくても、農薬を使っていません」といったところ
で、商品価値としてはほとんど無いと思います。1個や2個は売れるでしょうが、それ
により有機農業経営が成り立つのであれば、こぞって有機農業の世界に飛び込んでくる
でしょう。
 生命力あるトマトを、いかに「消費者に支持される商品」に育てるか、有機農業を継
続していくためには大きなポイントです。
 背の高い草のなかでの栽培は、収量、食味、管理・収穫作業などの点で現実的ではあ
りませんが、いろいろと工夫が必要です。

8月25日
第4回 NPOは実は難しい@〜弁当編〜

 NPOには様々な印象を持たれていると思いますが、事業運営については、実はかな
り難しい環境にあると思います。
 NPO事業の一環として、弁当を販売することを例に述べたいと思います。
 この場合、まず考えなければいけないのは「売れる弁当」を作ることです。弁当その
ものの商品価値、販売方法、宣伝方法などの要素がありますが、ここでは商品価値に限
定します。
 弁当の特色というかセールスポイントは何でしょうか。お袋の味、こだわった素材、
新鮮さ、手作りであること、買いやすい価格など、いろいろとあると思います。
 たとえば味にこだわるのであれば、ご飯については、米の選定や炊飯方法(水加減、
炊飯装置を含む)など、おかずであれば素材、調理方法、味付けなど様々な要素があり
ます。
 ここで大切なことは、常に商品価値の向上を目指して、自発的な気づき→提案(問題
提起)→検討→再提案→検討→決定→実施→評価など、NPO全体ですすむことができ
る体制作りが必要です。
 「自分は柔らかめが好きだから柔らかめに炊いている。他の献立も、今までの料理方
法が一番いいに決まっている。素人には口を出してほしくない」というようなことがあ
れば、商品価値を高める上での障害といえます。
 ここまで述べると、それは企業でもNPOでも同じことといわれそうです。その通り
です。
 しかし、民間企業ではこれらをスマートに行っている例がほとんどだと考えられます
し(商品価値が高くないと売り上げも経営の維持も期待できない)、新規参入したNP
Oの場合、余程リーダーや会員ががんばらないと、こういった体制作りは難しいと思い
ます。
 客観的に弁当の商品価値を判断し、客観的に商品価値の向上への方策を考え、NPO
の会員が対等な立場で話し合える、そんな環境が必要です。
 NPOでも企業でも、規模の大小にかかわらず、開かれた運営を行うことができるか
が大きな鍵を握っています。

8月16日
第3回 環境問題と経済問題@〜プルタブ編〜

 プルタブというと、懐かしい響きがあります。
 数年前は環境問題の1つとしてプルタブが取り上げられていました。缶ジュースなど
を開けたとき、その部分が缶から離れてしまうのですが、それが野鳥のクチバシにはま
ってしまったり、道に捨てられ分解しづらいゴミとして残っていたりしていました。
 当時は、「プルタブを別のものに置き換えることは、缶メーカーにとって経済的にか
なりの負担になる」というようなことがいわれていたと思います。
 しかし、いつの間にか現在のように缶から離れないものに変わりました。
 メーカーや多くの方の努力もあったのでしょうが、環境問題としてのプルタブが乗り
越えられたのだと思います。
 同じようなもので、現在進みつつあるのは、ペットボトルのふたの部分です。
 大多数のものは、ふたを開けると下の部分(輪の状態のもの)がペットボトルに残っ
てしまいます。ペットボトルとふたの素材は処理方法が違っているので、たとえばペッ
トボトルは「ペットボトル資源」に、ふたは下の輪も含めて「埋め立てゴミ」などに分
別する必要があります。
 しかし、一部の商品は、輪に斜めの切り込みが入れられており、ふたを取るときに輪
も一緒にはずれるようになっています。より分別がしやすくなります。
 最も、再生可能だからといって「缶」や「ペットボトル」の使用に制限が必要ではな
いかとの考え方もあるでしょう。
 それはさておき、環境問題は幅広いですが、経済問題と対立するのではなく、お互い
に発展できる方策を探ることが現実的と考えます。


8月3日
第2回 ネットショッピング@〜代金引換時の印紙代を考える〜

 様々な企業等がネットショッピングに参加しています。
 以前から気になっていたのが、送料込みで3万円以上の商品を購入し代金引換で支払
った場合の印紙代です。
 一般的に3万円以上の領収書には印紙を貼ることとなっています。
 しかし、たとえば店頭で肥料を3万円分購入した際に、印紙代は客ではなく、お店が
負担しています。
 代金引換の場合は代金回収業務が運送会社等に委託されているのでしょうから、負担
すべきは運送会社となってしまいますが、それをしていたら運送会社の経営に響いてし
まいます。すべての運送会社が横並びで、印紙代を含めた代金引換手数料を設定すると
いう方法もありますが‥‥。
 いずれにしても、利用者が負担するというのは腑に落ちない気がします。実際に利用
されている方はどう考えているのでしょうか。
 今はもうありませんが、ある企業は「ホームページからの注文の場合、代金引換で印
紙代が必要な場合は、商品代金から印紙代相当を割り引く」という画期的?な取り組み
をしていました。


8月1日
第1回 安全な農機具とは@〜溝切り機を例に考える〜

 安全な農機具について考えたいと思います。
 農作業は緊張の連続ではありますが、疲れていたり、ちょっと注意が逸れていたりす
ることもあります。
 農業機械は、使いやすくて疲れにくい、効率的な作業ができるなどのほか、ちょっと
した不注意でも事故につながりにくいことも、大切なことだと考えます。
 歩行型の溝切り機を例に、思いつくままに記載してみます。
 溝切り機を見たことがないという方は、とりあえず一輪車をイメージして下さい。車
輪にエンジンが付いていること、車輪の後方に溝切り板が付いて田面にとがった溝を切
っていくものです。
 第1に、通常の作業が体に負担がかからないことです。一輪車は空の状態では、左右
の腕に掛かる重量は同じです。もしこれが片方だけ重たければ、体に大きな負担が掛か
ってしまいます。エンジンが付いているので、一輪車よりはずっと重くなります。
 第2に、始動および停止がスムーズであることです。スクーターではエンジンの回転
が上がると走り出すことはおわかりだと思います。エンジンをかけただけで走り出して
しまうのでは危なくて仕方ありません。ブレーキやクラッチが付いていると申し分ない
と思います。停止スイッチが押しやすい所にあることも重要です。
 以上の2点について、不備のある製品はないと思う方もいらっしゃると思います。
 しかし、溝切り機ではありませんが、エンジンの重さが左に偏っていて、アスファル
トの上でエンジンをかけると走り出し、停止スイッチも機械の前方でハンドルを話さな
ければ押すことができない、3拍子そろった製品があることは事実です。
 確認はしていませんが、新型機ではすでに改良されていることと思います。